2012年5月14日 スタッフブログトップ

必死剣鳥刺し

タイトル名だけでもなんとなく物語の予想ができそうだ。

藤沢周平原作の隠し剣シリーズ 「必死剣鳥刺し」

隠し剣というのは必殺技のようなもので、主人公たちは(隠し剣シリーズは短編小説)それぞれ、師匠から教わった流派の奥義や、流派とは別に師匠が修行のあいだに編み出した剣技であったりする(なかには、主人公ではなく倒すべき敵が隠し剣を使っている場合もある)

主人公たちは剣術に秀でたものばかりであるが、その剣術でもって世を渡り歩いている無頼漢でない。現代風にいえばサラリーマン。上司の機嫌をとったり、部下の機嫌をとったり、自宅にもどれば奥さんの機嫌をとったり、と書いていると切なくなってくる。

 

この「必死剣鳥刺し」の主人公兼見三左ェ門はとても大柄でとても醜い顔立ちで物静かな男で、仕事も黙々とこなし、家に帰ると妻はすでに亡く、妻の姪理尾(りお)が兼見を優しく出迎える。

こんな男が、殿さまの側室連子を刺し殺す事件を起こす。

何故、このような事件を起こしたのか、一切語られることはない。

連子という側室は、原作では利発な女性で政にも口をだすが、まぁそこまで悪い女性という描かれ方はしていない。映画版では、悪女、といった描き方をされている(映画では原作を掘り下げたのかもしれないが)。

なので映画版においては、この連子にはほとんど同情することなく

「あんだけすき放題したら死んでも仕方ないよな」

と思えてしまう。

 

連子殺害で兼見は普通なら極刑になるところであったが、なぜか1年の閉門で済み、家もお取りつぶしされることなく残った。

 

必死剣鳥刺しはいつ使うのか。これは、最後の最後で使われるのである。閉門からとかれた兼見は近習頭取という役職を与えられた(海坂藩藩主右京太夫の側つき)。しかし、右京太夫からは

「お前の顔などみたくもない」

といわれ(まぁ連子を殺害した張本人だからしかたないよな)兼見は上司である中老津田民部に

「役を解いてください」

と懇願する。そこで、津田に

「近習頭取は兼見でなければならぬ、そういう理由があるのだ」

と諭される。そこでやっと

「鳥刺しという剣があるそうだな」

「必勝の剣なのだな?」

と問われ兼見は

「無論です」

絶対的な自信を持って答える。兼見が現在の役を与えられている真の意味は右京太夫の命を守るためにあった。

 

この右京太夫という殿、典型的なだめな殿さまで、連子にいわれるままに予算を決めていくしまつ。だが、兼見はこんな殿さまを守るために命をかけて刺客と戦う。

観ているほうとしては刺客に共感できてしまう。刺客は藩の民衆を守るために命がけで戦ってい、兼見はいうなれば悪の首領がはなったショッカーとでもいおうか。

 

 

 

 

原作を読んでいたので、鳥刺しの秘剣をどのタイミングで使うのかは知っていたが、映像になると

「おっ」

とさすがに驚いた。

51ptWjuXMwL.jpg

 

ー悪い兵士なんていない、悪い指揮官がいるだけだ(確か映画版機動警察パトレイバー2で荒川がこんなセリフをいっていた

投稿者 マジカルガーデン江南店 : 16:21 | コメント(0) | トラックバック(0)

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